良質な給与制度を導入して生産性を向上させる

はじめに

 会社が成長していくためには魅力的な商品やサービスを生み出し、販売し、資金を効果的に活用することが求められ、いずれも鍵を握るのは優秀な人材がモチベーションを維持して活躍できる環境を用意できるかが重要になります。給与はあくまでも衛生要因ではありますが、他社に劣後したり、人件費の配分がうまくできないと優秀な人材は流失してしまいます。必要な人材をリテインし、そうでない人材は流動化しやすい仕組みを用意しておくことが会社の競争力を維持する上で必要です。

 優秀な従業員を会社に定着させる最低条件は、他社で働くよりも今の給与に不満がないことと将来の給与に期待が持てることです。会社への貢献度が大きければ、しっかり給与の増額として短期的、長期的にフィードバックされる仕組みであることが伝わる仕組みである必要があります。また、その会社には合わない人材も当然いますので、こうした人が他の職業を選択していくことを妨げない仕組みであることも必要です。活躍できなくても給与水準がわるくない、大きな貢献を果たしている人と処遇がそれほど変わらないのであれば、転職を考えるきっかけにはならないのではないでしょうか。

 もちろん、仕事のやりがいや面白さは、人材を定着させるもっとも重要な要素ですが、これは会社が制度として提供するのはなかなか難しいものです。会社が用意できるもので生産性を引き上げるには適切な給与制度を構築しておくことが現実的な対応といえるでしょう。

良質な給与制度を導入した場合の具体的な効果

 良質な給与制度を導入した場合の効果は次のとおりです。

  1. 優秀な人材の退職が減る。
  2. 活躍できない者が自然と退職する。
  3. 総額人件費を有効に配分できる。

 活躍できていない者がすでに高い給与水準にあり、これらの給与を下げられないとおもっていませんか。給与制度の仕組みを変えれば、既得権益を壊し、現在の実力と給与・賞与をバランスさせていくことは可能です。具体的な方法は今後紹介していきます。

優れた給与制度を作るポイント

 ポイントは従業員へ会社のメッセージが伝わるように給与制度の仕組みを設定することです。具体的にみていきましょう。

優れた給与制度を導入する手順

 給与制度を設計する具体的な手順をみていきましょう。

移行措置

 現行制度から新制度に移行する際に給与が大きく変わると、従業員の生活や感情に大きな影響を与えて、モチベーションの低下につながる人もでてきますが、具体的にどの様に新給与に移行すべきかの手順をみていきましょう。